大阪・関西万博のメインとも言えるシグネチャーパビリオンのひとつ、「いのちの未来」。アンドロイドと人間が共生する未来をテーマとし、来場者の心に深く問いを投げかけるこの展示で、“おばあちゃんは最後にどちらの選択をしたのか?”。私も含めてそこがどうしても気になる人のために、本記事で考えたいと思います。
【パビリオン情報】「いのちの未来」 予約は必要?所要時間は?

このパビリオンは超人気のため、基本的には事前予約が必須です。時期によってはキャンセル待ち整理券のサイトで当日枠を狙うことも可能です。いずれにしても、予約なしでは入場できません。
所要時間は60分程度。受付終了後、まずは会場内で使用するデバイスの使い方の説明を受けます。会場内ではロボットに案内されながら、一緒に入場するグループ単位で移動し、展示を鑑賞します。

【展示内容】アンドロイドと共生する未来

ゾーン1:「いのちの歩み」
日本の文化における「モノ」へ命を吹き込む歴史を、縄文時代の土偶や埴輪から仏像、人形、そして未来のアンドロイドへと繋げて紹介します。日本人が古来から大切にしてきた「命の形」が静かに提示される導入部です。
この最初の展示室でデバイスから音声が聞こえない場合は、スタッフの方に申告しましょう。
実は私はここでまったく音が聞こえず、すでに始まったのかどうかもわかりませんでした。同じグループにもうおひとりデバイストラブルの方がいらっしゃったので、結構高確率で調子の悪いデバイスに当たってしまうかもしれません。
ゾーン2:「50年後の未来」
ここがパビリオンの中心。アンドロイドのアスカロイドやヤマトロイドなどが登場し、人間と共存する2075年の未来がストーリー仕立てで展開されます。おばあちゃんと孫の映像が登場し、アンドロイドと家族の関係、生き方の選択が深く描かれます。ここでおばあちゃんは究極の選択を迫られるのです。
余命を知り、「記憶をロボットに移してアンドロイドとして生き続けるか」「自然に人生を全うしてナチュラルに死を迎えるか」。
展示の最後近くでは、マツコ・デラックスさんのアンドロイドがテレビ撮影をするスタジオ場面もあり、「芸歴75年なのよ」と語るなど、ユーモアと共感を込めた演出も魅力です。
ゾーン3:「1000年後のいのち“まほろば”」
音と光、CGによる幻想的な空間。この場では、身体的制約から解き放たれた1000年後の「いのち」としての人間(アンドロイド)が舞い、魂とテクノロジーが響き合うインスタレーションのような体験が広がります。
アンドロイドは本当に見た目がリアル!このリアルなアンドロイドが舞う姿に、私はなんだか恐怖を感じてしまいました。
ラストのおばあちゃんの選択は?
おばあちゃんが選んだのは、どちらの選択肢だったのでしょうか?展示でははっきりとした「選択そのもの」を観客に見せず、来場者自身に考えさせる形をとっています。
映像の最後で見せられるのは「ナチュラルな死」と「アンドロイドとして生きる」2つの道。ただ、実際におばあちゃんがどちらを選んだかを明示するシーンはなく、セリフや感情の余韻、語られた問いを通じて観客が自分ならどうするかを想像するスタイルです。
つまり、展示を体験した多くの人が「結局おばあちゃんはどっち選んだの?」と思うようになっていて、それ自体がこの展示の狙いであり、来場者に「自分ならどうする?」と問いを投げかける構造になっているのでしょうね。
【まとめ】未来のいのちの選択について考えさせられる展示
「いのちの未来」は石黒浩プロデューサーによる、アンドロイドと共生する未来を通じた“いのち”への問いを考えさせられる展示です。
おばあちゃんの選択自体は展示で明言されません。それでも、“どちらを選ぶのか”を問われる体験そのものこそが作品の核心です。来場者は展示を通じて、自分の価値観、自分がどう生きたいか、倫理や個人の尊厳について自然と考えさせられるようになっています。
私も入場後に一緒に行った友人と、この選択肢について「自分ならどうするか?」を話し合いました。ぜひみなさんも「いのちの未来」を体験し、あなたご自身に問いかけてみてくださいね!